木造の家といえばおばあちゃんち、隙間だらけで寒いイメージが強い人も多いのではないでしょうか?

無垢床の家は寒い、あたたかい両方聞くけどどっちが本当なの?
無垢床は冷たくない、むしろあたたかい、という検索結果が多い中、実際に住んでみた人の体験は重要な情報になります。
私はこれまでの家で、ビニル製フローリング、合板フローリング、無垢床、タイル床といった一般的な床を一通り経験しました。
この記事では現在の無垢床の家で、冬を3回過ごした経験から学んだ以下のことをシェアします。
- 無垢床の家は寒いのか
- 全館空調や床暖房なしで無垢床の家を快適にできた方法
無垢床を採用する際のポイントをできる限りオーナーの目線でお伝えします。
昔ながらの寒い家、冷たい無垢床に対するマイナスなイメージがプラスに変わります。
「全館空調にしたいけどコストが高くて迷う人」や「無垢床か、他のフローリングで迷っている人」にオススメの記事です。
無垢床は実際に冷たいのか?


結論、合板フローリング・ビニル製フローリングよりもあたたかく感じました。
私は以下の通り、一般的な住宅の床を一通り経験しました。
- 実家時代のマンション
合板フローリング、ヒノキの無垢床(※) - 独身時代のアパート
ビニル製フローリング - 現在の持ち家
ヒノキの無垢床、タイル床
(※ マンションの時にも一部の部屋を無垢床にリフォームしました。持ち家の無垢床との比較も含めて後述します。)
他のフローリングよりは確かにあたたかく感じる無垢床。
しかし冬は家族全員靴下を履いて生活しています。
あたり前ですが、無垢床自体は発熱しません。なので自然と暖かくなることはありません。



なんで無垢床はあたたかく感じるのかな?
では、無垢床は他のフローリングよりあたたかい、これは本当なのか?調べてみました。
無垢床は他のフローリングと比べて暖かいのか?
この疑問に対する答えとしては、
【表面の温度・体感温度ともにあたたかい。
ただし、床自体が発熱している床暖房のような暖かさではない】
ということになります。
無垢材があたたかい理由
- 熱を伝えにくく、外気が寒くても冷たくなりにくい
- 木の細胞の中に空気を多く含んでいるため、断熱・保温効果がある
無垢床と合板フローリングなどの新建材の比較実験はいくつか行われていました。
- 表面温度の比較実験
無垢床(パイン、杉、オーク)と合板フローリングの表面温度をモデルハウス内で測定した結果、無垢材は15.0~16.2℃、合板フローリングは13.9℃でした。この結果から無垢材のあたたかさが証明されています。
(参考:藍舎 http://www.ai-sha.com/blog/) - 体感温度の比較実験
無垢材と新建材の表面温度が同じ場合でも、無垢床材の方が体感温度で1~2℃暖かく感じられるという実験結果もみられます。
(参考:オースタム https://oustam.com/blog/) - サーモグラフィーを使った実験
無垢床(ヒノキ)とタイルとの比較をサーモグラフィーで調査した実験もありました。
(参考:由紀子 著『家族がずっと笑顔で健康に暮らせる天然素材のマイホーム』幻冬舎2015)
❶
右側の写真は、上がタイル(18~21℃)、下が無垢床(21~23℃)で、無垢床の方が温度が高いことを示しています。
左側の写真からは、素足でタイルに乗った時の方が、青い部分が多い(=冷たい)ことがわかります。
❷
右側の写真は、数分後に足の置いてあった場所を計測したもの。無垢材の保温効果により左足の熱が残っていることがわかります。
左側の写真は、降りた時の写真の温度。
右足(タイル)が24℃、左足(無垢床)は27℃が大部分を占める結果となっています。
これらの実験から、無垢床は合板フローリングやタイルに比べて、あたたかさを感じやすいことが科学的に示されています。
ただし、床暖房のように【暖かい】のではなく、自然な【あたたかみがある】、この表現が適切だと思います。
真冬は基本靴下を履いています。しかし、2月後半から寒さが少し和らいでくるとほとんど素足でいます。


3月のある寒い日、外気温6.8℃でした。
暖房をつけていない家の中は16.1℃。少し肌寒いな〜と感じる室温でしたが素足で過ごせました。


ちなみにこの後行ったトイレのタイルは冷たすぎて絶叫モノでした。
無垢床を採用したオーナーさんの口コミ


ここまでは私の体験とデータとてらし合わせながらまとめてきました。
さらにネット上の口コミでは無垢床を採用したオーナーさんの、どんな意見があるのか調べてみました。
例1 ほんのり暖かい
無垢床の肌触りと冬の寒い時に床がほんのり暖かいのはお〜と思いました。
(引用: ユニバーサルホームの口コミ・評判)
言葉で表すと私も確かに「お〜!」でした。笑
肌触りの良さがあたたかみにつながっているのかもしれませんね。
無垢床と合板フローリングに素足で乗って体感できる展示場もあるのでぜひ足を運んでみてください。
例2 10年目の正直
建ててから10年目。無垢材がいいと聞いて床は無垢にしましたが、素足なら多少寒いかもしれないです。フローリングで多少冷たいのは当たり前ですが。床暖房入れれば対処できます。
(引用: 東急ホームズの口コミ・評判)
無垢床と床暖房は相性は良いとは言えないものの、施工会社によっては対応しているところもあるので担当者に確認しましょう。
無垢床と床暖の相性は次の章で詳しく説明します。
例3 樹種によって温かみが違う
オークのような広葉樹は
冬は冷たいと聞いていました。
実際に住んでみての感想は…◎思ったよりも冷たくない
◎賃貸アパート時の合板フローリングよりは寒くないというかんじです
思ったより寒くないのは、
うちが高気密高断熱の家だからという前提もあると思います。
しかし、いくら思ったより寒くないと言ってもずっと裸足で床の上にいるのは寒いですその点、友人の家は、針葉樹である杉のフローリングを取り入れていましたが、オーク材より柔らかい分、暖かみがありました
パイン材なんかも暖かいみたいです。
(ただ、傷はつきやすいらしいけど…)無垢材と言っても木の種類で体感温度が違うんだなぁと感じています
(引用:半平屋で家事ラク&育児ラク!みーの家づくり)
針葉樹より紅葉樹の無垢床は冷たく感じるとありますが、空気の含有量により樹種によってあたたかさが多少変わるようです。
針葉樹は空気を多く含むためあたたかみがある。
スギ・ヒノキ・サワラなど
紅葉樹は細胞に含む空気が少ないため、針葉樹ほどの温かみはない。
クリ・ナラ・メイプル(かえで)など
床自体が発熱する暖かさが良ければ暖房機器を利用する


床自体が発熱する暖かさを求めるなら床暖や全館空調を採用するのが一番の寒さ対策です。
しかし、床暖と無垢材は施工できるものの、決して相性がいいとは言えないようです。
相性が良くない理由
- 反りや隙間が発生しやすくなる
- 設定温度が20℃以下と制限され、床暖のメリットがMAX受けられない
また、OMソーラーという自然のエネルギーを利用した全館空調があります。太陽の熱を床の下に循環させるという無垢床にもエコな仕組みです。


全館空調にすると金額が跳ね上がり、予算オーバーになることも・・・
わが家もOMソーラーを検討しましたが、500万上がると言われて諦めました。泣
どうしても一定の暖かさが保てる床がいい!という方は暖房器具で無垢床を温める方法一択になるでしょう。



とは言うけど金がかかるし…快適な床にする他の方法はないの?



次の章で詳しく解説するよ
全館空調や床暖房をつけずに無垢床の家を快適にする方法


結論から言うと、「家の断熱性を上げる」です。
体験談から追って説明します。
断熱性をUPさせたら体感温度が激変した話
実家のマンションで一部リフォームした際、子ども部屋だけ無垢床にしました。
暖房つけているのに冷たい…勉強机の下だけ結局マットを敷いていました。
樹種は現在の家と同じヒノキの無垢床なのに、です。
住み始めた頃はなぜ同じ無垢床なのに感じ方が違うのか?わかりませんでした。
現在と何が違うのか?
それは断熱性の違いでした。
実家のマンションは単層ガラスとアルミサッシが使われており、隙間風で寒い&結露しまくり。
熱が逃げていってしまい部屋も床も温まらなかったのが原因でした。



熱の大半は窓から逃げると言われてるよ〜
家の断熱性をあげることで、より快適であたたかみのある無垢床が実現できることを建ててから学びました。
◎ 住んでわかった!
断熱性能の高い家にすることでより快適であたたかみのある無垢床を実現できる
【無垢床×断熱性能の高い家】で
冬でも素足でいられる無垢床に
快適性を上げるポイントは高気密高断熱の家にすることです。
なぜなら無垢材には空気の層が多く含まれ、冷めにくい特性があるからです。
素足でも寒く冷たく感じにくくなることで、寒がりな人や、暑がりでを家の中では靴下を履きたくない人も快適に過ごせます♪
冷却後の温度比較実験
無垢床材と新建材を冷蔵庫で冷却後に測定したところ、無垢床材は8℃だったのに対して新建材は−2℃。10℃の差がありました。
無垢材は空気層による断熱効果が高いため、温度が下がりにくいことが科学的に証明されています。
(引用:今工務所 https://www.konkoum.co.jp/energysaving)
無垢材の冷めにくい性質を利用して高気密高断熱にすると快適性を上げるのに効果が高いです。



無垢床には保温機能があり、
高断熱の住宅との相性がいいよ♪
温まった無垢床は冷めにくく、ほんのりとしたあたたかみが続きます。
真冬は靴下を履いていると書きましたが、日中でも靴下を脱ぎたくなって素足でいる時間帯もあります。笑
断熱と気密はセットで考えるのがポイント
断熱と気密について用語を簡単に説明します。
UA値で表され、数値が低いほど断熱性が高いと言えます。
UA値は0.6以下が理想とされています。
国が省エネ基準としている数値だからです。
(参考:『トクする家づくり・損する家づくり』(柿内和徳・川瀬太志共著))
C値で表され、数値が低いほど気密性が高いと言えます。
「C値=1.0」なら「家の中にトータルでハガキ1枚分の隙間がある」ということになります。
C値の一般的な基準として、以下の数値が目安になります。
- 2.0以下(一般的な省エネ住宅レベル)
- 1.0以下(高気密住宅レベル)
- 0.5以下(超高気密住宅レベル)
気密が不足すると冷暖房の冷たい空気や暖かい空気が逃げてしまいます。
光熱費がかさむだけでなく、室内外で温度差が生まれ、結露して家の寿命を縮めてしまいます。
専門家は、C値は1.0以下を推奨しています。
(参考:『トクする家づくり・損する家づくり』(柿内和徳・川瀬太志共著))
断熱性能を考える際は、断熱と気密は一体のものとして考えるのがポイントです。


断熱と気密の関係は、魔法びんをイメージするとわかりやすいです。
魔法びんには「内側と外側の間に熱を伝えにくい仕組み(断熱層)」があることと、フタがきっちり閉まる(気密性が高い)ことで温度を保っています。
フタがしっかり閉まってなければ、せっかくの断熱性能も活かせません。
家に置き換えると・・・?
高気密・高断熱の家で温まった無垢床は、保温効果で温かみが持続する
窓・サッシ・断熱材にこだわろう



でも断熱性を上げるにはどうしたらいいの?
断熱性能を上げるためには、窓ガラス・窓枠(サッシ)・断熱材の3点をしっかり考えましょう。
特に窓の部分は、室内の熱の半分が窓から逃げると言われているためです。
窓ガラスを考える
ガラスは複層ガラス(ペアガラスやトリプルガラス)がおすすめです。
複層ガラスは二枚もしくは三枚重ねたガラスで、ガラスとガラスの間にアルゴンガスや真空層がある製品を選ぶと断熱性が高まります。


単板ガラスは、一枚のガラスでよく熱を通してしまうため、結露しやすいので断熱性能は低めです。
窓枠(サッシ)を考える
サッシは樹脂サッシかアルミ樹脂複合サッシがおすすめです。
以下は、樹脂サッシ・アルミ樹脂複合サッシ・アルミサッシの比較表です。
項目 | 樹脂サッシ | アルミ樹脂複合サッシ | アルミサッシ |
---|---|---|---|
断熱性能 | 約1.27~1.31 W/m²K | 約1.66~1.76 W/m²K | 約4.65〜6.2W/m²K |
結露しにくさ | しにくい | ややしにくい | しやすい |
耐久性・強度 | やや低い | やや | 高い高い |
防音性 | 高い | やや高い | 低い |
価格 | 高い | 中程度 | 安い |
デザインの特徴 | カラーバリエーションが豊富だがフレームが太い | 幅広い住宅デザインに対応 | 細いフレームがスタイリッシュ |
適応例 | 寒冷地、省エネ住宅向け | バランス重視向け | 温暖地向け |
https://madoichiban.com/column/202410_08/
https://mado-handbook.com/resin-sash-comparison/
https://livingbetter.jp/pdf/Understa
樹脂サッシは断熱性や結露のしにくさのように、より性能重視の人にオススメです。



樹脂サッシは、アルミ樹脂複合サッシより約25%断熱性能が高いよ
結露はカビ・ダニを発生させるだけでなく、家の寿命自体も縮めてしまうので要注意です。
マンション暮らしの時のアルミサッシでは結露に悩まされていたのですが、今の家では結露しているのを見たことがありません。
ただし、デザイン面ではフレームが太くなり、窓の存在感が大きくなるというデメリットもあります。


一方、アルミ樹脂複合サッシでは、樹脂の断熱性とアルミの強度を兼ね備え、フレームも太すぎないスッキリした見た目が人気です。
コストや耐久性を考慮しつつ、バランスを求める方に適しています。
性能・デザインの特徴を踏まえたうえで、用途や地域に応じて選択が推奨されます。
断熱材を考える
壁の中に胃フェル断熱材は、どんな断熱材をどんなふうに入れているかにこだわると良いです。
下の写真のように、袋に綿を詰めたタイプの断熱材はコンセント周りなどに隙間ができやすく、熱が逃げやすくなります。


(引用:『トクする家づくり・損する家づくり』(柿内和徳・川瀬太志共著))
隙間なく施工することが断熱性を高めるポイントです。
わが家はみっちり隙間なく施工できる点で断熱性を上げられる、セルロースファイバーを選びました。
セルロースファイバーの他にも断熱性が高い断熱材について専門家は以下の製品をおすすめしています。
◎ 施工時に隙間を作らない断熱材
- 家をぐるっと完全に覆う外張り断熱
- 硬質ウレタン製のパネル
まとめ:無垢床の快適性は家づくり次第で解決できる
住んで感じた無垢床まとめ
無垢床ついてのまとめです。
- 他のフローリングに比べて表面温度が高く、暖かい
- 体感温度も暖かく感じられる
- 床自体が発熱するあたたかさではない
床自体が発熱するあたたかさを求めるなら床暖房や全館空調を利用する必要があります。
ただ、無垢床との相性の問題やコストの問題があり、採用するにあたっては施工会社の担当者に確認するなど注意が必要です。
床暖や全館空調なしでも快適な家にできる
寒いと感じた実家の無垢床
VS
あたたかみを感じる自然素材家の無垢床
マンション、アパート、自然素材の家に住んできて、断熱性能が関係していることに気づきました。
「無垢床はあたたかい」は間違えではありませんが、家のつくり方次第でより快適になります。
- 熱が冷めにくい無垢材の特性を活かし、断熱性を上げることであたたかみを感じられる床にする
- 断熱性を上げるには窓ガラス・窓枠(サッシ)・断熱材の3点にこだわる
- 専門家が勧める家全体の断熱性能はUA値0.6以下、C値1.0以下
3年断熱性にこだわってよかったなと思います。
夏はもちろんのこと、冬でも素足でいたくなるほど本当に気持ちのいい無垢床。
わが家ではもうなくてはならない存在です♪
皆さんもぜひ、心地よい無垢床の生活を送ってみませんか?
岐阜・愛知県で無垢床対応の工務店をお探しの方は、わが家が建てた工務店「ひだまりほーむ」を紹介できます。



DMをいただければ紹介できるので、お気軽にお問い合わせください♪
※特典は紹介を通してなので注意してください。初めて来場される方が対象です。2025/03/31時点の情報です。
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